神奈川県知事
岡崎 洋 様
2002年11月18日
神奈川県立近代美術館100年の会
代表 高階 秀爾
神奈川県立近代美術館鎌倉本館の修繕・改修計画への提言
拝啓
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 貴神奈川県におかれましては、文化・芸術に対する深い理解と支援、そしてその継承に尽力されていることに敬意を表します。
さて、「神奈川県立近代美術館100年の会」(略称近美100年の会)は、昨秋11月、鎌倉の神奈川県立近代美術館が開設50周年を迎えられたのを期に結成されました。このすばらしい美術館が、いつまでも現在の鶴岡八幡宮境内の地で現役として活動しつづけられることを願い、外側からそれを支援しようというもので、美術界、建築界の有志が発案し、多くの市民の賛同も得て、組織され、活動を始めております。
あらためて申し上げるまでもなく、この近代美術館は、戦後間もない1951年に、人々の新たな心のよりどころを作ろうと願う、美術界や当時の内山岩太郎知事の強い思いと、また同じように戦争の時代からの復興を願っていた八幡宮の要請もあって、鎌倉の現在の地に建てられました。日本ではじめての近代美術館としてのその活動は、戦後の美術界のみならず日本の文化全般に大きな影響を与えており、その重要な貢献はひろく認められているところです。 近時、発表された計画によれば、貴県は、葉山町に新しい近代美術館を建設されており、2003年秋にこの新しい施設が開館した後は、鎌倉の近代美術館との2館体制で運営されるとうかがっております。神奈川県における文化・芸術振興のいっそうのご発展をお慶び申し上げるところでありますが、この記念すべき新しい出発の時に際し,私ども「近美100年の会」としては、神奈川県に対し、あらためて、建築後50年を過ぎた鎌倉の近代美術館にこれまで以上の配慮を払われ、その本来の機能を果たすための適切な修繕・改修を行なわれることを要望いたします。
とくに、この美術館の建物は、20世紀を代表する建築家ル・コルビジュエのもとで学んだ建築家坂倉準三の代表作として、日本の建築界だけでなく世界からも高く評価されており、今般、登録文化財の申請をされるよう要望する所以でもありますが、その利用にあたってもこの建築の持つ文化財的な意義に十分配慮された、良好な維持、保存が必要となってきていると存じます。 私ども「100年の会」といたしましては、一刻も早く修繕・改修を実施されることを要望するとともに、今後、貴県が行なわれるであろう鎌倉の近代美術館の修繕・改修に際して、文化財保護的な見地からご配慮いただきたい点をまとめ、ここに提言させていただきますので、よろしく、ご検討の程お願い申し上げます。
私ども「近美100年の会」では、現代社会と美術館のあり方や、この美術館の構造に関する研究などについて分科会を構成して進めるほか、鎌倉市民と美術館の関わりなど地域住民と美術館の関係などに関しても、検証、提言を行っていきたいと考えています。また、私どもは、今後の改修工事や美術館活動について、貴県に対し様々なご協力をさせて頂く用意があることを申し添えます。          敬具

>>提言内容について